4月15日
まだ完成には至ってないが、京北材を使って増改築を行っている「金閣寺の家」を会場に今回の会合は開かれた。施主の住吉氏はこのネットワークのコアメンバーで、建築設計という立場からこのネットワークに参加している。近ごろ動きが目立ってきた行政との関わり方と、今後の課題について意見の交換を行った。 「金閣寺の家」見学会 およそ30年ほど前に建てられた住宅を主構造を残して改修 した。あれこれやってみたいことを試行的に込めてみたが、なかなか計画的に行えず、大工さんは苦労したという。そのため、思いのほか時間がかかり、リビングの壁や事務所、外構などがいまだに未完成である。特に軒裏の納まり(二重の化粧軒裏)には苦労があったそうだ。全体として、京北材を使っているが、床、枠を除いてほとんどは隠れていて、大壁のインテリアはイタリアのデザインをベースにしており、ここではボードの上に楮和紙張りをメインにしている。白い壁面で統一しているが故に、部分的に用いられている枠材や棚板などの木がとてもよく映えている。「京北との関わりがなかったら、こんな風にムク材を使うことはなかった。通常、自分が設計しているコストでは、京北の材ばかりでつくることは難しい。」とのこと。 この家はLOHAS的な魅力の家として評価し得る。元の家の骨格を残している。構造材を見せるのは、大工の意気込みを伝えるというものだが、ここでは残念ながら構造材は隠れている。コストをかける部分とかけずにすます部分とに分けて設計するという対処法もあるのではないか。人が集まるリビングなどではいいものを使い、そうでないところにはとりあえずのもので済まし、後に換えて行くという方法もあるだろう。 ネットワークの関わり方について 「杣人工房」という京都市の林業振興施策がある。これは地元材を展示し、その材による家づくりのモデルルームとして公開されながら、来訪者に説明できる人間、設計者や施工者へのつながりを持つというもの。各区ごとに置きたいそうで、北区、左京区に期待されているとのこと。このネットワークでそのようなものを具体化できればと考える。 また、こうした木のネットワークで活躍している「京都の木のネットワーク」がウッドマイルズ認証制度を立ち上げる努力をしている。用いている材木のほとんどに産地認定を行い、ウッドマイルズやウッドマイレージを算出するという。現実的には、一つ一つの材木のすべて、家具まで認証の目を光らすというのには無理があるので、適度な括り方を探る必要があるだろう。今はそれが実際に可能かどうか、どこまで精度を上げればいいかを試行的にやってみる時期だと思う。大変な苦労ではあるが、先駆的に誰かがやってみなくてはならない仕事だ。 これからの課題 山側に天然乾燥の材のストックがあり、安定した供給が得られるとなれば、誰もが地元産材を使おうと思うだろう。逆に安定した需要があれば、山側も安心して生産できる。つまり「木材供給ネットワークの構築」が必要となってくる。年間を通して、家づくりの木材を事前に確保する仕組みである。幾つかの工務店と設計事務所、製材所と林家が協同して、年間の木材使用量を見積もり、事前発注してストックする。そうすれば、期間の余裕が相当に生まれるので、良木と伐り旬の確保、自然乾燥期間の確保が可能になり品質の向上にもつながる。このとき、標準となる部材寸法の規格化が必須となる。言い換えると、「京北木材による住宅規格」を考えること、が必要になるだろう。まずはわれわれが、少しづつでも木材の購入を約束すればいい。仲間に声をかけて、少しずつ買う約束をしてみるというのを実行してみよう。さらに京北への入り口となる市内からそう遠くない位置に木材製品市場またはストックヤードを設置してみよう。 もう一つ議論されたのは、「活動本拠の設営」である。中心市街か周辺のどこかに、サテライトを開設する。そこは、情報発信と体験学習の場であり、営業と経営の統括本拠地でもある。具体的には、例えば、「京北木材による家づくり」が分かるモデルハウスで、小さなストックヤードでもある。ネットの事務局があり、プロには営業や問い合わせの窓口、ユーザーには、家づくりの相談窓口や住まい塾が開かれている。事業が進めば、宿泊体験も出来る。等々が考えられる。本拠設営でどこが主体になるかだが、これも議論に出たように、森林組合が木材販路開拓の最前線とするのは、実現可能な有力案であろう。 以上
by keihokunoki-net
| 2006-04-15 12:07
| 会合
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