2006年 10月 04日 ( 1 )
2006.10 会合  「れいほく木材協同組合」の規格材についての講演を受けて
10月4日
 夏の終わり頃の涼しくなる辺りでというのがやや遅れてしまいましたが、今回もよしやまち町家校舎にて会合を開きました。議題は去る9月23日、大阪にて行われた戸塚元雄氏による「れいほく木材協同組合」の規格材についての講演を受けての意見交換と、京都市京北農林事務所の大東氏を迎え京北の役場が取って来た政策について伺った。

「れいほく木材協同組合」の規格材について  「れいほく」では原木価格が1万7、8千円/m3という。これは山側林家にとっては大きな励みになる数字で、これが実現されれば、みなやる気になれるだろう。今の安い原木値段の背景として、山側は出しさえすればいいのであり、その品質や、量、時期、どれにもあまり責任を持たなくてもよかった。「れいほく」の原価には、売った後に苗を植えて育てる費用が含まれているし、量、時期、品質について責任を持たされているということを忘れてはいけない。「れいほく」では45年~60年という戦後の材を対象に扱っていて(京北材の場合は、材零等級で言えば、80年~100年というところにもう一つのピークを持っている)、それぞれに適合する部位が考えられているなど、とても進んだ考えがなされている。「れいほく」をはじめとするネットワークでは、山の木が家に直結しているという点がいい。自分たちが育てた木がどんな家のどういうところに使われるかを知ることは、林業を変えるかもしれない。
 鈴木先生に「れいほく」規格材の意味についてまとめていただいた。

 「シルバン」という雑誌に書いたことと重なる(「近くの山の木で家をつくる」住の地産池消への応援歌)が、今全国に林業ネットワークグループはずいぶんたくさんできた。400を超えるグループが熱心な活動をしているけれども、まだそれでも住宅着工戸数はいいところで数千戸で、全体の1%にも満たない。そこには、2つの大きな壁がある。

価格の壁が大きい。どこも結局のところ、木材の原価が具体的に計算できないまま、曖昧なまま商売をしている。それを「れいほく」のグループは計算し、適当と思われる価格を打ち出し、価格の根拠とともに公開した。材の部位、断面の大きさなどでその数字が異なる。この意味は大きい。市場原理とは違う価格設定が行われていいということ。これは滋賀県の場合でも、材の値段の設定の際に、通常の流通価格のおよそ2割増しという価格設定の範囲内でできたのは、近江商人の「三方よし」、買い手よし、売り手よし、世間よし、という思想を借りて、作り手よし、住い手よし、環境よしという考え方をしている。材を出す人は、熱心な人たちの熱意、作られる家に見えるかたちで自分の材が大事に使われている満足感を買い、住まい手は、自分の家の木が育っていた山を見、育てて来た人、製材の人、大工を知ることで、やはり安心と満足を買うという仕組みができた。価格にはそういう意味があると。 
 
量の壁がもう一つの壁。量的拡大がなされねば、山側に金が返ってこない。業として成り立たない。そのために必須なのが、規格化、標準化だった。それを年月をかけて相当に絞り込んだ成果がこの規格。同時に、この規格で実現される具体的な家の構造モデルを示している。伝統的な構法を、しかし割り切ってローコストで達成できるよう、三間角というモデルを示している。伝統の家づくりをプレファブ化したとも言える。各地域で、家づくりの伝統があるし、林業の形態も違う。皆がれいほくの規格にそのまま倣うのではなく、それぞれの規格化を図るべきだと考える。

規格材とプレカットの違い  プレカット工場は大工の手刻みを機械が代わりに行うだけのもので、材の規格化を目的とするものではない。確かに現在、プレカット加工率は高くなっており、より高い効率性のために、大手メーカーは独自の規格を持ってやっている。「れいほく」の規格材は、手刻みでもプレカットでも構わない。この規格材は、「構造材を見せて生かす住宅のための木材」で、プレカット材の多くは、大壁仕様となり、見えて来ない。隠れてしまう材にこだわる人はいない。いい木、いい大工の仕事は見えてこそ、味わってもらえる。通常の建築家の多くは、(自分も含めて)、やはり自分らしいデザインをしたい。人と違う個性を大事にしたいと思う。そこに量的な壁が乗り越えられない落とし穴があると戸塚さんは言う。彼の家づくりはそういう個性を問わない、構造の合理性を重視して提唱している。(でも、それはやはり戸塚スタイルの提案なんだけれども)。

「京北の家」づくりとモデルハウス  京北の役場が取って来た政策について大東氏に語っていただいた。
 
 京北の黒田地区の出身で、子供の時から林業をみてきている京北役場に勤め、地元産材を使うべく、10数年前にプレカット工場を担当した。ところが、地元外の大手の材は品質、量的に安定していて、地元の材は安定していない。段々、地元産材の扱う量が減少し、今では国産材と外材との関係と同じ割合になってしまっている。
 一方、「京北の家」づくりを企画し、補助金制度を設けた。最高一戸当り85万円相当という補助制度は日本でも最高レベルだろう。ただ、地元の工務店20数社に呼びかけて、5年間で、12、3戸が達成できたにすぎない。今は京都市に編入し、この家づくりは消えた状態。役所主導型ではうまく根付かなかった。今はモデルハウスが森林公園にあり、森林組合が管理している。一応、京都市の所有なので、一任意団体の勝手にはできないけれども、検討できると思う。地元にも、手刻みの昔ながらの家づくりを考えている若手大工もいるので、彼らにも声をかけたい。

 このモデルハウスはこの「京北の木で家をつくろう」ネットワークで使えるように思う。このメンバーで、この運動の拠点の一つとして、地元の林家や製材、工務店の人たち、京都市内や京北の人たちと一緒に集える拠点になる。改修も考慮の内に入れて、林業事務所も入ってもらえたらいい。
 
 まだこのネットワークグループの基本姿勢、活動方針、拠点、メンバー、いずれも決まっておらず、緩やかに話し合いを続けている時期でありますが、そろそろ具体的な枠組みや活動を意識して進めたく思っています。今回の大東さんのお話にありましたが、京北で行われている「京北の家」づくりをわれわれの活動に組み込めるか、協力できるか、近い将来に現地にあつまり、見学し、地元の人たちも交えて、意見交換の場をもちたく思います。

以上
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by keihokunoki-net | 2006-10-04 16:23 | 会合